後見業務を仕事にすること②~社会福祉士の場合~

専門分野と対象者

専門職後見人の一職業として我々社会福祉士は位置づけられています。

社会福祉士は福祉の相談支援専門職であり、主たる業務は「権利擁護(権利を守る)」です。

ただ、一言に社会福祉士と言っても、それぞれに専門とする領域があります。

高齢者福祉であったり、障がい、児童、地域、貧困、更生保護・・・etc、細かく分けるとその分野は多岐にわたります。

社福士(=社会福祉士の略)一人ひとりが、それぞれに自身が専門とする領域を持っていますし、何に特化してその専門性を深めているかもわかれます。

逆に言えば、「福祉職」だからどの分野にも詳しいかと言えば、それもかなり個人差があると思います。

社福士もニンゲンですから、得手不得手もあるでしょう。

私はあります(苦笑)

後見業務(受任)を考える場合も、少なからず専門性やどの分野が得意か、これまで携わってきたかは重要になりますし、受任後に後見人等として案件に携わっていく中でそこはメリットとして活かされるべきでしょう。

ただ、どの分野の対象者であっても、社福士として「権利擁護」を主たる業務にしてることは、なんら変わりありません。

また、後見人等は、「本人の代理人」となる立場であって、他の支援さんたち、例えばケアマネジャーや介護職、相談支援専門員、医療職、行政の職員などとは立場がまるで違います。

あくまで、「本人の法定代理人」であって、言わば「本人に重なる人」です。

ですから、後見人等としての自身のポジショニングさえ自らが見失わなければ、専門としない分野の対象者であっても、自身が後見人等として「するべきこと」「考えるべきこと」「持つべき視点」はぶれないはずです。

そして、本人にとって自身が後見業務の中で備えなければならない知識や情報に常にアンテナを張ることも、専門も専門外も同じことでしょう。

それが後見人であり、専門職後見人です。

要は、自身が本人を守るためにどれだけ責任を持って腹をくくれるか、自身の後見人としてのポジションを理解しているか・・・ではないかと思います。

稼働エリアをどう考えるか

受任者として、本人の居所(住まい)は気になるところですね。

業務の中で何かと出向くこともありますし、交通費のこともあります。(ちなみに、後見人が稼働する場合の交通費は基本的に本人の実費負担です。)

単純に考えて、自分の自宅または事務所とする場所から近隣の案件がいいように思われるでしょう。

それはもちろんそうなのですが、私の経験から申しますと、そこにポイントを絞ると受任する案件はおそらく思うように増やせません。

例えば、自宅や事務所の近くとは言わずとも、交通の便の良い、街中に居所がある方の案件は、他の受任者も受任希望に手を上げやすいものです。

平たく言えば、その案件を受任するしないで他の社福士と競争になります。

受任件数を増やしたければ、ここには自分がビジネスとして稼働するにあたっての計算が必要です。

先で述べた本人にご負担いただく交通費のこともありますので、そこも含めた検討にはなりますが、自身の自宅や事務所から本人の居所が近いというよりも、案件同士(本人の居所同士)が近いかどうか、ある特定のエリアで集中しているかを重視した方が結果として稼働の効率はいいはずです。

多少、自宅や事務所から遠方でも、同じエリアへ半日出向き、半日で3~4件の案件を訪問したり対応したりできれば、たとえ自宅や事務所から近隣のエリアでも、案件同士が微妙に離れているエリアをちょこちょこ移動するよりもよほど効率がいいということです。

この点で言うと、私自身は拠点を置いている県北のいわゆる市街地では1件も受任せず、どちらかと言えば、あえて町はずれのエリアに案件を集中させています。

なおかつ、長崎県内でいう県南、県央エリアでも受任をしていますが、受任をする際にあえて数件ほぼ同時期に受任しました。

受任後、案件の内容を整理する最初の2~3か月は確かに忙しなくしてはおりますが、内容が安定すればある程度要領よく稼働できるようになるものです。

かえって無駄がないのでお勧めします。

もし、あなたが独立型の社福士ないしそれに近い働き方をされていて、受任件数を増やしたいとお考えなら、市街地の案件は受任件数もそう多くない勤め人の受任者(どこかで働きながら受任している社福士)にお任せしましょう。

彼ら勤め人の受任者こそ、本職がありますから、単純に考えて遠方の案件を受任することは難しいはずです。

ここで競うのは、我々の業務(業界)全体の効率を落としかねません。

そして、もうひとつ裁判所のお話をしますと・・・

成年後見制度の案件は、本人の居所の町を管轄する家庭裁判所によって分けられています。

受任者は、その各裁判所から監督を受け、受任後も報告書の提出や相談などを行っていきます。

しかし、これについては、強いて言えば私はあまり気になりません。

提出物については配達記録等が残る郵送手段を使えばさほど困りませんし、相談事は概ね電話でもできます。

もちろん、「ちょっと、来所しなさい。」などと指示があれば別ですけど(苦笑)

余程のことがなければ、めったにあることではありません。

そこは、頑張りましょう(笑)

ちなみに、長崎県は南北に長いのですが、私は一番県北部にある裁判所が管轄としている案件も数件受任していますが、これまでに一度もその裁判所に来所せずに仕事しています。

今だけではなく先々の活動(課題)を考える

対象者の分野を新たに開拓して、稼働する場所もあえて新しいエリアに出向く・・・

確かに、ちょっと気がめいるかも知れませんね。

ここまで書いておいてなんですが、私も緊張しぃな方なので、前日眠れないぐらいな状態になりますし、しばし落ち着かないです。

ただ、上記のようにメリットと思うことは、これまでの自分の実践の中で証明できます。

そして、もう一つのメリット。

それは、案件を通して知り合える関係者の方々がそれだけ増えるということ。

本人をとりまく支援者の皆さんもそうですし、稼働する市町が変われば、担当する行政窓口も変わりますので、さらに出会いや気づきは増えます。

独立型社福士の方などは、この市町の行政窓口の担当者さんと関わりが持てることは特に大きいと思います。

自身が暮らす街の行政とのみやり取りがある場合と比べると、格段に各種制度の全体の見え方が変わってくるはずです。

この成年後見制度しかり、介護保険、障がい福祉、地域福祉、生活保護しかり・・・

もちろん共通する基本的部分はあるにしても、制度や支援、サービスは、何にしろその市町の財政状況に左右されることも多いわけで、それら全体を見渡し課題を考えるのも、我々のこれからの活動には必要となることだと思います。

行政とは言わずとも、社会資源も同じくです。

どのエリアに、どのような社会資源が足りないのかも、自らが出向き稼働するからこそ身をもってわかることもあるはずです。

人材も、物質的なことも・・・

地域で活動する者として、自分の大切なクライエントさんが住む町として、我々の今後の動き方にもつながると思います。

専門職として

私は現在、若い方は20代(受任当初は19歳でした)、一番ご年配の方で91歳の方を担当しています。

もともと、私は高齢者福祉や地域福祉が専門ですが、後見業務については、なんらかの障がい(知的障がい、精神障がい、アルコール依存など)をお持ちの方が多いです。

または、ご年齢はお若いですが、事故やご病気などのいわゆる中途障がいを受傷された方や、その当時はまだそのような見解はなかったかも知れませんが、ここ最近で言うところの累犯障がい者の方もいます。

ただ、この分類というのは、結局、こちら側(業務を受任する者)が分けているだけで、今の彼らの状況を言うとすれば、「成年後見制度が必要になった方」それだけだと思っています。

何も特別なことはないし、先でも申しましたように、私が後見人としてするべきことは決まっています。

彼らの法定代理人として、彼らの権利を守ることです。

そして、本人さんたち、とりまく支援者の皆さんから、たくさんのことを学び、経験させて頂いています。

自身が元来専門としないだけに幾分焦りはしますが、ただ一つ言えることは、おかげで「自分に足りないこと(もの)」もものすごく明確になります。

ときにガツンっと後頭部を殴られるぐらいの衝撃で気づかされますが、これは専門職としてある意味ありがたいことです。

自身が専門とする領域だけでのうのうと専門職風吹かせていたら、たぶん一生かけてもわからない感覚です。

確かに、しばし・・・しんどいですよ(苦笑)

たまには、恥もかきます。

でも、意を決して自ら取りに行くだけの価値は、必ず十分にあります。

あるようにするのも自分自身です。

「専門職」を名乗って仕事する以上、なるべく・・・取りに行くべきだと思います。

特に後見業務においては、おそらくその「取りに行く」こともしやすい方だと思います。

後見人等として、すべきことは決まっていますから。

あとは、自分の「決心」だけです。