高齢者・障がい者へのケアにおける「虐待防止」のために大切なこと

増え続ける虐待事案

ときどきメディア等でも報道があるとおり、高齢者や障がいのある方、いわゆる日常生活において何らかの支援や介護(介助)を必要とされる方への「虐待」事件が増えている現状があります。

具体的内容は公表できませんが、私も権利擁護を生業のひとつとしていますので実際に携わる案件において、支援者らから「虐待事案」としての相談があり一緒に介入することもめずらしくありません。

虐待とひとことに言っても内容は様々で、主に「身体的虐待」「経済的虐待」「性的虐待」「心理的虐待」、そして「放棄放置(ネグレクト)」などがあります。

私の肌感触ではありますが、関わる事案の中では最近は経済的虐待や放棄放置(ネグレクト)が多い印象があります。

また、放棄放置(ネグレクト)の結果、身体的虐待につながっていたなど。

起こっている状況は残念でつらいですが、目をそらすことのできない課題です。

虐待防止法と成年後見制度

高齢者虐待および障がい者虐待において、どちらもそれぞれの虐待防止法があります。

虐待防止法の中で「成年後見制度の首長申立(市町村長申立)」や「成年後見制度の利用促進がどちらにも規定されています。

これら虐待防止法の中に「成年後見制度」についての項目が盛り込まれている背景をおおまかに説明します。

高齢者虐待においては、「認知症高齢者が虐待を受けやすい」という調査結果があります。

しかし、障がい者虐待において、必ずしも知的障がい・精神疾患のある方が虐待を受けやすいということではありません。

ただ、虐待の加害者側が、高齢者・障がい者の「財産管理」をしていたり、日常の「諸手続き」を本人から代行していたり、どちらもご本人が「財産管理」や「諸手続き」の支援を必要としている状況が多い。

その結果、「成年後見制度の利用支援」が支援者らの虐待事案の対応の中に入ってくるというイメージです。

高齢者や障がい者らご本人を虐待の環境から保護し、その後の生活やケアの環境を立て直していく段階で「成年後見制度の利用」につながっていきます。

もし虐待の加害者が同居している「家族」であっても、多くの場合虐待の事実がある以上は上記のような役割を引き続き虐待の加害者である家族によって継続するわけにはいかないと考えられるからです。

サービス事業者(ケアの従事者)による虐待

医療や福祉サービスの従事者によるサービス利用者である高齢者・障がい者への虐待については、近年どちらも増加傾向にあります。

専門的なスキルのある従事者から、必要なサービスが提供されるはずの支援現場です。

なぜ、支援の現場で「虐待」が起こってしまうのか。

ケアの従事者からサービス利用者への虐待の報道を耳にするたびに、疑問を感じます。

どちらが良い悪いの話ではありませんが、少なくともケアの「専門職」です。

いわゆるケアに関しては素人だけれども、(場合によっては)やむを得ず家族などのケアをしているケアラー(家族介護者)ではありません。

支援現場の日々の業務の大変さ、人手不足、職場内のコミュニケーション不足、一つではない、いろいろな要因があるのかも知れません。

「ケア」を行う者として大切なこと

家族介護も同じかと思いますが、従事者においても、何にしろやはり大切なのは困難さを「一人で抱え込まないことではないかと考えます。

従事者も一人の感情のあるニンゲンであることを自身でも自覚して、業務の困難さなどを支援チームで共有し、理解し支えあう。

たとえ実務の内容そのものがそう簡単には変わらないとしても、「たいへんに感じている気持ち」「ふつふつとしたストレス」などがあることを吐露し、胸の内を共有できること、その環境が職場内にあることがまずは重要です。

専門職としての職業倫理は当然ありますが、少なくとも所属する職場内で、または同じ実務に携わる者同士、想いを共有することは「ひとりの人」としてお互いに必要なことではないかと思います。

実務における実質的なケアも、従事者同士の精神的なサポートも、どちらもチーム支援。

従事者各人の我慢や精神論的なことにしてしまうのではなく、この点を一つひとつ丁寧に考えていくことが、支援の現場において必要なのではないでしょうか。