被後見人とその親族の「関係性」について~後見人の立場からどう考えるか~その②「財産管理編」

後見業務の中の「財産管理」

後見業務には、細かく言うとたくさんの実務の種類があります。

それらを大きく二つに分けたものが、いわゆる「財産管理」と「身上の保護(身上監護)」。

この二本柱です。

一般的に、目に見えてわかりやすいのが「財産管理」かなと、周囲の皆さんとお話していて感じますが、数字の話で、お金の話なので、確かにそうかもしれませんね。

今回はこの後見業務における「財産管理」について少し細かく解説します。

(と、言うことで、「身上の保護」については割愛します。)

「支出」は被後見人のためが基本

被後見人の財産は、現金などの預貯金以外にも、例えば不動産であるとか、車輛であるとか、株や金券なども含めて、その資産が何にしろ「被後見人の名義」であれば「被後見人のもの」と、まずは捉えます。

成年後見制度における財産管理は、その資産が「誰の名義か」ということが考え方のポイントになってきます。

ですので、受任している後見人にとっても、被後見人の資産であれば「財産管理」について後見業務上の義務があります。

逆に被後見人の資産でなければ、たとえそれが被後見人のご親族のものであったとしても、後見人が勝手には扱えないのがルールです。

そして、その財産の支出における「主となる人物」は当然のことながら被後見人「ご本人」。

財産を「支出する(使う)」ことにおいて誰のためかと言えば、一番に被後見人ご本人のためということが基本的な考え方です。

被後見人の財産管理と被後見人の「家族」

実際には、先で述べました「名義」についてもう少し細かく言えば、「共同名義」などもときどきあります。

ありがちなのが「不動産」とか・・・

登記などの書面上「共同名義」とはなっていなくても、お亡くなりになった方からの相続手続き云々が完了しておらず、事実上は他の相続人らと「共同名義の状態」になっていることもあります。

そのような場合は、当然、考え方や対応は多少変わってきます。

しかし、基本的には後見業務の財産管理において、被後見人名義のものは被後見人ご本人に一番に権利があり、そして、後見人には管理する義務があります。

そのため、もし、成年後見制度を利用される前に、ご家族が被後見人の収入(お金)をご家族とひとくくりに生計を立てていたとしても、制度利用が開始されると、「この〇〇の代金は誰が支出すべきか。」を今一度見直すことが出てくる場合も多いです。

特に、被後見人ご本人は施設入所などで明らかに在宅生活ではなく、自宅にはご家族だけが暮らしている場合など。

たとえその自宅不動産自体は被後見人名義であったとしても、そこで生活しているご家族の「水道光熱費」や「食費」、「新聞購読料」など、そのようないわゆる「生活費」においては、自宅で引き続き暮らしているご家族と「今後は誰が支出していくか。」を、話し合う必要が出てくるでしょう。

誰のために?・・・財産管理の中心にあるもの

前述のとおり、後見業務における被後見人の「財産管理」には基本的な考え方があります。

後見人として管理すべき財産かどうかの判断の根拠は「被後見人の名義であるかどうか」ということ。

また、財産の支出はその財産の持ち主である「被後見人のため」です。

さらに付け加えると、特に被後見人の財産の支出目的の一番は、被後見人の「生活のため」であるかどうか。

いわゆる「介護」とか「医療」とか、被後見人が日常を送る中で、また被後見人の生命に対して必要とされる支出に一番重きが置かれるのが一般的な後見人としての考え方です。

その次に、被後見人の趣味など「生活の質」のための支出が考えられるかと思います。

しかし、我々には「権利」があれば「義務」も当然ありますよね。

それは、被後見人としても同じことです。

もし、被後見人に扶養すべき家族がいる場合、特にその関係性が「配偶者」や「未成年の子」であれば、成年後見制度を利用されている被後見人であっても、その義務があるとも考えます。

さらに、もし被後見人自身に「家族の〇〇に、△△を買ってあげたい。」などそのような支出の希望があれば、被後見人の生活や財産状況を考慮した上でそれを叶えるのも実務といえるのではないでしょうか。

いわゆる「身上の保護」の視点からの「財産管理」ですね。

場合によっては、業務を監督されている家庭裁判所へ報告しながら指示を仰ぐこともあります。

基本的なルールがあることを心得た上で、ときに柔軟な視点で、管理されていくことが大切かと思います。