ケアラーセンターという「拠点」を、この国にも~イギリスの実践に学びながら~

「ケアラーセンター」という「場所」に出会って

「ケアラー」という言葉は、ここ数年でずいぶんと耳にする機会が増えました。

高齢の親を介護する方、障がいや病気のあるご家族を支える方、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたち・・・

その形はさまざまですが、共通しているのは「自分の生活や人生を後回しにしがちである」ということです。

私自身も家族介護者としての経験があり、日頃からケアラー支援に関わる中で、いつも頭から離れないテーマがあります。

それが、今日ご紹介する「ケアラーセンター」です。

相談する場所がひとつ増えるだけでも、救われる人は確実にいると思います。

今、起きていること

現状、日本におけるケアラー支援は、まだ「点」の状態にとどまっていると感じます。

介護のことは地域包括支援センターへ、障がいのことは相談支援事業所へ、就労や経済的な悩みはまた別の窓口へ・・・

ケアラーご本人にとっては、いくつもの窓口を渡り歩くこと自体が、すでに大きな負担になっているのではないでしょうか。

一方、イギリスでは1995年に制定された「ケアラー支援法(Carers Act)」のもと、全国に「ケアラーズセンター」が設置されているそうです。

レスパイトの提供や緊急時の電話対応、情報提供やサポートグループの運営など、幅広い機能を長年果たしてきました。

日本でも昨年、新宿区のNPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンさんがケアラーセンターを設置されました。

制度としてはまだ確立していない中で、現場から先駆的に一歩を踏み出された取り組みだと、私は受け止めています。

介護者サポートネットワークセンター・アラジン| 新宿区の介護者支援

私の考えと、具体的な提案

この春、一般社団法人日本ケアラー連盟から政策提言集「支える人を支えたい~ケアラー支援のための政策提言」が発行され、「ケアラーセンターの設置」もそのひとつとして掲げられています。

イメージとしては、市区町村ごとに最低1か所、都道府県にバックアップセンターを、という設置単位です。

機能としては、ケアラーアセスメントの実施、孤立防止のための居場所づくり、ピアサポートグループの運営、傾聴やカウンセリング、緊急時の支援、生活・就労・経済・介護や障がい福祉の制度利用まで、多岐にわたる相談にワンストップで対応できることが柱になります。

運営スタッフには、ケアマネジャーや社会福祉士、看護師、弁護士など複数の専門職が想定されており、心の支援を担う場でもあることから、行政だけでなく市民の立場に近いNPO等による運営が望ましいとされています。

もちろん、財源の確保や人材育成など、実現に向けての課題は決して小さくありません。

制度化にはまだ時間がかかるだろうというのが、正直な見立てです。

ただ、少なくとも「どこに相談したらいいかわからない」というケアラーの声に、ワンストップで応えられる場所があること自体には、大きな意味があるのではないでしょうか。

課題や悩みをひとりで抱え込まなくていい場所は、確実に人を救うはずです。

今、私たちにできること

制度がまだ整わない中でも、アラジンさんのように現場から声をあげ、実際にかたちにしていく動きが日本各地で少しずつ生まれています。

私も専門職として、またケアの当事者としての経験を持つひとりとして、この動きを後押ししていければと考えています。

行政、そして医療・福祉・法律職の皆さまにもぜひ「ケアラーセンター」という選択肢を知っていただき、それぞれの地域で「今、できること」を一緒に考えていただければ幸いです。

制度ができるのを待つだけでなく、できることから動く。

その積み重ねが、いずれ大きな流れになると信じています。

そして、ケアラーを支えることは地域そのものを支えることにつながっていくはずです。

なお、先日開催された「アラジンフォーラム2026~ケアラーセンターの実現のために~」に参加された方のレポートブログもございますので、ぜひあわせてご覧ください。

【長崎シングル介護を考える会HP・ブログより】

「ケアラーセンター実現のために」 アラジンフォーラムに参加しました! – singlekaigo ページ!