
「長崎県ケアラー支援条例」について長崎県社会福祉士会会報に寄稿しました!
以下は、当職が「一般社団法人長崎県社会福祉士会会報2023年1月号」へ寄稿したものです。
*当事務所ホームページおよび当職のSNS等への転載については、団体から許可を頂いております。また、会報誌については現時点で会員へ発行済みです。
『全世代型支援に大きな期待』~長崎県ケアラー支援条例成立~
「すべてのケアラー(家族介護者)のために、県の責務や県民・事業者・関係機関の役割を明確化」「家族介護という根強い規範意識を払拭し社会全体で支える」・・・この度、令和4年10月7日長崎県議会において「長崎県ケアラー支援条例」が成立しました。都道府県での条例成立は全国で4番目、九州初。これにより各ケアラー支援に対し「動くべき者は誰か」というポジションが明確になったのです。約2年半の準備期間を経て最終的には全議員提案というすばらしい形での条例成立。私も議員のみなさんとの意見交換やアンケート調査、パブリックコメントに参加し、上程当日は県議会議場にて傍聴する機会を頂きました。微力ながらケアラー支援に携わり10年。議場で全議員が起立され条例が成立された瞬間、胸が熱くなったことを今も忘れられません。
政府は故安倍元首相の当時、社会保障改革の一つとして「介護離職ゼロ」をはじめて施策に掲げ、「安心につながる社会保障」の中で「介護に取り組む家族のための支援」を打ち出しました。日本は2007年に超高齢社会を迎え、また団塊の世代が75歳以上になる時が目前に迫っています。故に政府としては、国としての労働力(納税者)の確保が施策の背景にあることは否めません。しかしながら、その施策は我が国において介護が家族や家庭の中のあくまで個人の問題から「社会の問題」に変化したことを表しており、当時の政府の動きは日本のこれからの介護問題を考えていく上で大切な一歩であったと言えるでしょう。
長崎県は子どもも大人も「全世代型ケアラー支援」を掲げ、令和5年4月1日施行に向けて推進計画の策定が進められています。特にヤングケアラーの話題が取りざたされている昨今、はじめから「全世代型支援」を掲げていることは非常に意義があると考えます。なぜならケアラーにとって介護は「生活」であり「人生」の中で繋がっているからです。ある年齢になったら、要介護者が亡くなったら、その途端介護がケアラーの人生の中から消えてしまうことはありません。行政がケアラー支援におけるこの点を理解していることはとても重要で、また実際には、実は伝わりづらい部分でもあるのです。
ケアラー支援活動のネットワークは全国各地にあり、多くの関係者が願うことが「ケアラー支援の法令化」です。ヤングケアラー、介護殺人、介護離職、シングル介護・・・ケアラーを取り巻く課題は多く国をあげてケアラーのための社会保障が確立されることはとても重要だからです。全国でこの動きが高まり県や市町で条例が制定され、さらには法令化にむけて進んでいくことを強く願います。長崎県もようやく「0」だったものが「1」になりました。自身もひとりの活動家として地域の社会福祉士として何が出来るのか、これからも考えていきたいと思います。まだ始まったばかりです。
【長崎県ケアラー支援条例のポイント】
・対象は全世代すべてのケアラー(子どもから大人まで)
・県の責務や県民、事業者、関係機関等の役割を明確化
・関係機関は介護・福祉に限らず、医療、教育機関等を含める
・「家族が介護するのは当たり前」という根強い規範意識からの脱却
・ケアラーを社会全体で支えていく仕組みの構築を明記
・島しょ部および山間部など、県内全エリアの地域性、特殊性を考慮することを明記
・ケアラー支援を行っている民間支援団体へのサポート
長崎県ケアラー支援条例(令和4年10月14日長崎県条例第33号)
https://www.pref.nagasaki.jp/gikai/0409teirei/tayori.html
(以下、条例一部抜粋)*この画像は会報には掲載しておりません。

