自組織に対して成年後見制度の説明できますか?

医療機関と成年後見人

成年後見人をしていると、その業務の中で、被後見人(クライエント)さんが受診している医療機関とのやりとりもめずらしくありません。

通常、業務の中で多くあるのが、日頃の医療費の支払いです。

2週に1回とか、月に1回とか、クライエントさんが受診された際の医療費の支払いですね。

月末にまとめてとか、ホームで立て替えておいてくれてとか、受診後の支払い方法はいろいろですが、医療費の支払いはよくある業務の一つです。

また、ときには、主治医から病状の説明を受けたり、入退院の手続きを行ったり、入院費の支払いについて(一度の支払いで完済できない場合はその交渉や、いつ支払いができるかなど)話し合いをすることもあります。

日頃は、たとえば手術や特別な治療がはじまるなど、そのようなことがなければ主治医と面会することは、そう度々はありませんが・・・

日常的には、どちらかと言えば、看護師さんや事務員さん、また医療ソーシャルワーカーさんとのやり取りが多いものです。

医療ソーシャルワーカーさんって、何する人?

医療機関の中に、「地域連携室」と呼ばれている部署があります。(各医療機関によって名称の設定はいろいろあります。)

部署としては設置していない医療機関もありますが、その場合は、別の部署でその機能を担っている場合がありますので、各医療機関へご確認ください。

地域連携室では、主に入退院・転院の支援や、退院後の在宅生活への支援、介護相談などを受け付けています。

各医療機関によって異なりますが、主に社会福祉士や精神保健福祉士など、相談支援の専門職が多く所属している部署です。

これら社会福祉士や精神保健福祉士は、福祉の専門職の中でも、「権利擁護(権利を守ること)」において専門性の高い職種でもあります。

以前も述べましたが、「成年後見制度」は「権利擁護(権利を守る)」ための制度です。

もし、患者さんが入院中または外来であってもかかりつけ医療機関で、「成年後見制度」について何かご相談したいことがある場合は、まずはこちらの窓口へご相談されることになるでしょう。

つまり、専門職側の視点で言えば、地域連携室に所属する社会福祉士・精神保健福祉士は、成年後見制度に関する基礎的な知識はもちろん、その「つなぎ方」にも専門性を備えていることは必須だと言えると思います。

専門職、されど専門職・・・

また、先ほども述べましたが、成年後見人はその実務の中で、クライエントさんの主治医とも面会し、病状や治療について説明を受けたり、話し合いをする場合があります。

この際に、課題にあがりがちなこと。

それは、医師や看護師、セラピスト、医療事務員さんなど、医療系の専門職の方々に、成年後見制度についてまずはご説明しなければいけなかったり、理解を求めなければいけなかったりすることです。

具体的には、成年後見人等では対応できない内容があること(「医療同意のサインはできない」や「保証人、身元引受人にはなれない」など)。

成年後見人は家族でも親族でもなく、また他の支援者(ケアマネさんや施設職員さんなど)とも違う立場であること。

このような我々実務者からすれば当然のことでも、なかなか他の分野の専門職の方々には伝わっていないこと、伝わりづらいことがまだまだあるのがこの制度の現状もであります。

ただ、私は、これら課題について、医療系の専門職の方々ばかりに、なにも理解がないとか、知らなすぎるとか、そのようなことは考えません。

自身も専門職の端くれだからこそ思います。

専門職とは、何某その道のプロなのです。

自身の専門領域外のことはなかなか難しいこともあり、そう極めていないこともしばしばあります。

専門職とてニンゲンですもの(笑)。それはそうです。

では、この場合、誰が制度を「理解」しているはずか。

地域連携室等の社会福祉士、精神保健福祉士だと思います。

組織に所属する権利擁護の専門職として

医師や看護師さんなど医療系の専門職の方々に、成年後見制度のご説明が改めて必要でも、それは致し方ないかも知れません。

ただ、地域連携室の社会福祉士・精神保健福祉士に、同じように一から制度説明が必要だとしたら、それは残念な話です。

むしろ、所属する医療機関において、医師や看護師さん、医療系のスタッフさんたちに、制度説明をかって出るぐらいの働きは当然ではないかと思います。

そしてこれは、医療機関のワーカーに限ったことではありません。

地域包括支援センターや福祉事務所、その他各行政機関、ケアの現場など、そこには権利擁護の専門職である社会福祉士や精神保健福祉士が多く雇用されています。

組織の中に、いろいろな他職種が所属しチームとなって支援するということは、その「チーム」としての形態に意味があるはずです。

所属するみなさんにとって、それら専門性をクライエントさんや地域に対して還元することはもちろんですが、ご自身が所属する自組織の中でも、その専門性を発揮し、支援チーム全体としての力を高めることにも責任があるのではないでしょうか。

支援チーム全体の力が高まるということは、みなさんにとって大切なクライエントさんや地域に対しても、結果、より良い効果となるはずです。

また、他分野の現場に異職種として所属することは、それだけ組織内においてもその専門性を期待されているからこその雇用であり、さらには自身の専門領域の様々な可能性を広げることにもなるかと思います。